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                               【 初夏 】

       
           初夏(はつなつ)
                         与謝野 晶子  

       初夏が来た、初夏は
       髪をきれいに梳き分けた
       十六七の美少年
       さくら色した肉附きに、
       ようも似合うた詰襟の
       みどりの上衣、しろづぼん

       初夏が来た、初夏は
       青い焔を沸き立たす
       南の海の精であろ
       きゃしゃな前歯に麦の茎
       ちょいと噛み切り吹く笛も
       つつみ難ない火の調子

       初夏が来た、初夏は
       ほそいづぼんに、赤い靴、
       杖を振り振り駆けてきた
       そよろと匂ふ追い風に、
       枳穀の若芽、けしの花、
       青梅の実も身をゆする

       初夏が来た、初夏は
       五行ばかりの新しい
       恋の小唄をくちずさみ、
       女の呼吸のする窓へ、
       物を思えど、蒼白い
       百合の蔭翳をば投げに来た

     
     鈴木輝昭は与謝野晶子の五篇の詩からなる組曲「弓春の賦」を作曲。  d0099420_2214789.jpg      
     「初夏」はその中の一篇。  
     晶子の属性の一部として欠かせない抒情と浪漫的モダニズムに
     光を当てようと試みている作品。                      
     
     今年の「京都合唱祭」で歌う一曲です。
     天候不順の今年は爽やかな初夏はいつ訪れるのでしょうか?     
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by shelly80 | 2010-05-28 22:16 | 季節
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